
大ブームの「蟹工船」、週刊マンガ雑誌でも連載が始まった。「週刊コミック・バンチ」。出版社が文庫を出版している新潮社ということもあるけれど、マンガ雑誌にまで登場するというのは、やはりすごい!
横浜のシネマ・ジャック&ベティで、映画も現在上映中。「蟹工船」本一覧
★小林多喜二著作
・「蟹工船・党生活者」(新潮文庫)1953.6.30出版420円
・「蟹工船 一九二八・三・一五 」(岩波文庫) 2003.6.13出版525円
・「蟹工船・党生活者」(角川書店) 2008.8.23出版380円
・「蟹工船」(金曜日)2008.7.1出版1,365円
・「蟹工船(デカ文字文庫)」(舵社)2006.2.1出版630円
・「小林多喜二名作集「近代日本の貧困」」(祥伝社)2008.8.1出版819円
★漫画
・「マンガ蟹工船 30分で読める…大学生のための」(東銀座出版)
<画家:藤生ゴオ/監修他:白樺文学館多喜二ライブラリー>2006.11.1出版 600円
・「劇画「蟹工船」小林多喜二の世界」(講談社+α文庫)
<画家:藤生ゴオ/監修他:白樺文学館多喜二ライブラリー>2008.9.20出版 600円
・「蟹工船 (まんがで読破) 」(イースト・プレス)
<企画・漫画:バラエティ・アートワークス>2007.10.1出版580円
★多喜二関連
・「小林多喜二とその盟友たち」藤田 広登(学習の友社)2007.12.1出版1,500円
・「私たちはいかに「蟹工船」を読んだか」白樺文学館多喜二ライブラリー
(遊行社)2008.2.10出版 467円
・「小林多喜二私論」右遠 俊郎(本の泉社)2008.2.20出版 1,600円
・「小林多喜二」手塚英孝(新日本出版社)2008.8.1出版 1,995円
・「ガイドブック 小林多喜二の東京」編集委員会(学習の友社)
2008.3.1出版 1,100円
・「小林多喜二と「蟹工船」」(河出書房新社)2008.9.1出版 1,575

突如巻き起こった小林多喜二の『蟹工船』の大ブーム。新潮文庫は、今年だけで50万部を発行、この増刷はまだまだ終わりそうにないという。読者は半分が20~30代の若い層。2種類出ているマンガ(イーストプレスと東銀座出版)もそれぞれ15万部売れている。ワーキングプアや格差社会の深刻な状況が背景にあることはいうまでもない。
これまでなかなか観る機会のなかった映画『蟹工船』も各地で上映されるようになってきた。
首都圏でも、横浜のシネマ・ジャック&ベティで、「緊急劇場公開」される。期間は9月27日(土)~10月10日(金)。1日だけの上映(長くて1週間)が多い中、2週間の上映というのは貴重である。1953年の作品ではあるが、今回はニュープリント上映となる。衝撃の秀作として名高い映画『蟹工船』をこの機会にぜひスクリーンで堪能してほしい。
上映日程
★9月27日(土)~10月3日(金)
10:00/13:55/17:50
(併映「時代を撃て・多喜二」12:10/16:05)
★10月4日(土)~10月10日(金)
10:20/14:25/18:30
(併映「にあんちゃん」12:30/16:35)前売 1000円
当日 一般1500円 大高1200円 小中シニア1000円
2本立て・入れ替えなし(最終回1本のみは1000円均一)
問い合せ
シネマ・ジャック&ベティ

ある程度予想はしていたが、最も懸念していた事態となってしまった。4月12日公開のドキュメント映画『靖国』の上映予定館5館すべてが上映を取り止めた。各劇場とも上映妨害などによるトラブルを警戒しての判断だという。
先週までは、予定通り上映すると渋谷Q-AXシネマは頑張っていただけに残念である。街宣車などの抗議を受けたことを中止の理由にあげている銀座シネパトスは、2006年にイッセー尾形主演の昭和天皇を主人公としたロシア映画『太陽』を、右翼の妨害が危惧されながらも上映を断行した劇場である(結果、動員記録を更新するヒットとなった)。まさかシネパトスが上映を中止するとは思ってもみなかった。
いずれにせよ、自民党議員による反日映画かどうかを確認すると称した「検閲」まがいの試写会が、大きく影響していることは間違いない。上映中止という事態は、民主主義にとっても映画愛好者にとっても最悪の状況である。
朝日新聞は社説(2008.3.30)で、「映画館に圧力をかけることのないよう呼びかける一方、上映をやめないように映画館を支えるのだ」と提案している。まずは、朝日新聞が先頭に立って、各方面に呼びかけ、言論・表現の自由擁護・『靖国』支援のための試写会を開催してみてはどうだろうか。

「反日」映画に文化庁が助成金を出したのは問題だと、自民党・稲田朋美衆院議員らの要求で、「検閲」まがいの試写会が開催されたドキュメンタリー映画『靖国』(李纓<リ・イン>監督)だが、上映を取り止める劇場が相次いでいるようだ。
4月12日からの東京の上映予定は4館。新宿の「バルト9」は上映取り止めが報じられた。他はどうなっているのか問い合わせてみると、
×「新宿バルト9」-上映中止
×「銀座シネパトス」ー上映中止、
▲「シネマート六本木」ー上映保留、
●「渋谷Q-AX」ー予定通り上映、という状況。
4館中3館までもが上映を取り止めそうな雲行き。
3月27日の朝日新聞で「映画「靖国」文化庁の影」という記事で、この問題の経緯が報じられている。日本映画監督協会理事長・崔洋一監督が「表現の自由への大きな圧力」とコメントを寄せているが、まさに言論・表現にとって深刻な事態である。
劇場もなんとか頑張ってほしいし、「靖国」の上映ができるよう映画人・観客の支援を広げていければと思う。
(なお、状況は確認していないが、他の地域は、横浜ニューテアトル(横浜)、シネマート心斎橋・第七藝術劇場(大坂)、名古屋シネマテーク(愛知)が上映を予定している)。
高橋和也演じる憲法学者・鈴木安蔵を主人公にした劇映画『日本の青空』が、いよいよ11月からクランク・インするようだ。平和憲法がけしてアメリカから押し付けられたものではなく、自由民権運動の精神を受け継ぎ主権在民を掲げた鈴木安蔵ら「憲法研究会」の草案が、GHQによって取り入れられていた、という「秘史」を映画は描く。映画とは関連しているわけではないが、
『憲法「押しつけ論」の幻 』(小西豊治著・講談社新書)が最近出版され、これを傍証する形となっている。
今年6月、衆議院の「教育基本法に関する特別委員会」で自民党・鳩山邦夫委員は、「日本人の考え方が無視されて、押しつけられてアメリカ型憲法ができ上がっていったかということ」をドラマにした『日本国憲法』という映画を製作すると発言している(
山田和夫氏指摘)。監督は、東條英機を「英雄」として描き物議をかもした『プライド・真実の瞬間』の伊藤俊也氏。「改憲」世論の喚起を意図しているのは明らかで、まさしく『日本の青空』と正反対の立場の映画である。また、石原都知事の特攻隊賛美となりそうな『俺は君のためにこそ、死ににいく』も控えている。平和憲法を守るためにも『日本の青空』の製作に対する期待がますます高まってきている。

平和憲法を守る映画『日本の青空』の製作への参加を呼びかけている製作委員会は、横浜西口駅前の「かながわ県民センター」で10月30日(月)「大澤豊監督と語るつどい」を開催する(18:30から入場無料)。11月のクランク・イン直前に、さらに幅広い展開と賛同の輪を広げていきたいと、つどいへの参加を呼びかけている。撮影前に監督と交流できる機会はなかなかないので、貴重な経験ができそうだ。
「核武装」まで公然と口にしはじめたいま、この映画の役割りはたいへん重要になっているのではないだろうか。
日本の青空ホームページ
知られざる憲法学者・鈴木安蔵を主人公に、憲法の大切さを訴える映画『日本の青空』のキャストがようやく決まった。鈴木安蔵役に高橋和也。アイドルグループ「男闘呼組」の出身で、最近では『出口のない海』の冷徹な大尉や『純情きらり』の負傷帰還兵の役などが印象に残る。憲法の映画に高橋和也氏はちょっと意外な感じだが、『純情きらり』のサイトで、
「浩樹をはじめ多くの人たちの運命を大きく変えた第二次世界大戦は、当時を知る人もだんだんと少なくなり、今では遥か遠くの時代のようになりつつあります。そういうなかで、こういう役をいただいて自分がもう一度当時の人々や時代について考えることができるというのはとても幸せなことだと思うんです。あの戦争を経験された方たちへの目線が変わりましたし、次の未来、自分たちの子どもにも伝えていかなきゃいけないという思いも新たにしました。そういった意味でもとてもやりがいもありました」と平和憲法を守る映画の主役にふさわしい発言をしている(こまつ座舞台『泣き虫なまいき石川啄木』の啄木役も演じている)。
安蔵の妻・俊子には『草の乱』で井上伝蔵の妻の演じた藤谷美紀、高野岩三郎に加藤剛、白洲次郎に宍戸開。
憲法を主題にした映画は、『ベアテの贈り物』(藤原智子監督)『映画 日本国憲法』(ジャン・ユンカーマン監督)、最近完成した『戦争をしない国 日本』(片桐直樹監督)とドキュメンタリーはあったが、『日本の青空』のような劇映画はいままでなかった。ドキュメンタリーに比べ、憲法に関心のない人でもとっつきやすい映画となるだろう。「平和憲法を守る過半数世論を獲得するための取り組み」というこの映画の製作意図に大いに賛同するものである。
キャスト決定!!日本の青空ホームページ

「コープ九条の会・神奈川」の第2回のつどいを10月7日に開催した(横浜・県民センター)。内容は、ジャーナリストでイラクの惨状を告発した『Little Birds』を監督した綿井健陽氏を招き、「イラク戦争と日本、そしてレバノン」と題した講演。今年3月から4月の非常に危険な状態のイラクと1千人以上の死者を出したレバノン空爆下の映像を、テレビ放映されたものと未公開映像をビデオでプロジェクタに映しながら解説。淡々と語る綿井監督であったが、その臨場感と迫力ある映像には圧倒させられる。
「(綿井監督は)”自衛隊””派遣”といっていたが、イラクでは”軍隊”といっているはずで、”派兵”と言うべき」との会場の質問(疑問?)があった。これに対し綿井監督は、その通りではあるが、「9条を守ろう」「平和」「戦争反対」という言葉を使わないことにしている、封印していると応えた。なぜかといえば、全国をまわっているとこれらの言葉にアレルギー反応を起こす人々がいるという。コープの会はそんなことはないが、大学などで話していてこの言葉を使うと、さーと波が引いていくのが感じられる。妙なニヒリズムと嘲笑。これらに人々にいかに分かってもらうか。「9条を守ろう」という言葉を使わずに、いかに9条の大切さをを伝えられるか重要である。キャッチフレーズやスローガンでない新しい言葉で話せないかを考えている、という。9条の会を大きく広げていく上で、きわめて重要な指摘である。

9月15日、映画人九条の会の『蟻の兵隊』上映会、だいぶ遅れて、池谷薫監督と山田朗明大教授との対談だけでも聞かせてもらおうと参加したが、370席の会場は満席で入場できないとこと。会場ロビーのモニターでなら、無料で見せてもらえるというので、そこに参加した。
小さいモニター画面ながら、参加された方々は食い入るように見つめている(写真)。対談も、池谷監督の平和を希求する熱い思いがひしひし伝わってくるものだった。渋谷・イメージフォーラムでも『蟻の兵隊』は上映中で、大変よくできていて興味深く観ることのできる作品なので、せひご覧を!

映画九条の会は、9月15日(金)に池谷薫監督『蟻の兵隊』の上映会を開催する(18:45より、東京・文京シビックホール。参加費1,200円)。
作品は、自らの「戦争責任」を真正面から向き合い、中国「残留」日本兵問題を追及する奥村和一氏に迫ったドキュメンタリー映画。渋谷のイメージ・フォーラムでも上映されているが、かなりの盛況で、幅広い世代の観客を集めているようだ(「蟻の兵隊」を観る会、など支援するグループもかなり出来ている)。上映後は、池谷監督と山田朗明大教授との対談も。
なお、雑誌「シネ・フロント」06年6・7月合併号が、『蟻の兵隊』を特集している(写真)。内容は、池谷薫監督・奥村和一氏インタビューなど。
蟻の兵隊サイト

「映画人九条の会」の有志で製作される平和憲法の大切さを訴える劇映画『日本の青空』が、製作の協力を呼びかけている。憲法学者・鈴木安蔵を主人公に、日本国憲法誕生をめぐる真実のドラマが明らかにされていくという(現憲法はアメリカの「押しつけ」などではなく、鈴木安蔵らの「憲法研究会」の草案がお手本になっていた!)。監督は『遥かなる甲子園』『GAMA 月桃の花』『アイ・ラブ・ユー』などで、社会の問題を見つめ続ける大澤豊氏(写真:映画人九条の会1周年集会で講演する大澤監督)。
1口10万円で製作委員会に参加し、千円の製作協力券100枚を受け取る。製作委員の名前が映画のクレジットとパンフレットに掲載される。また、撮影現場見学、監督、出演者との交流会などの企画も予定されている。憲法を改悪させないためにも、たいへん意義ある取り組み。映画を発展させる意味でも重要で、いままでにない映画運動が展望できそうだ。「九条の会」などと結びつき、名実ともに「市民の映画」となればと期待する。
大澤監督のことば「憲法改悪に真っ向から反対する映画が、今回の作品です。私にとっては10年ぶりの反戦平和を希求する作品ですが、憲法という新しい素材をできる限り易しく、沢山の人たちから興味をもって観ていただける映画にしなくてはならないと思っています。(チラシより)
日本の青空ホームページ製作協力について
映画人九条の会は、マスコミ研究の桂敬一氏とMIC議長・美浦克教氏を講師に「「改憲」はどこまで来たか?」の学習集会を7月19日に開催した。

美浦氏より、イラクの自衛隊をめぐる報道統制・取材妨害の問題、桂氏より「対米従属の仕上げ段階と「改憲」の役割、などについて講演された。新聞ジャーナリズムの深刻な衰退状況についても、鋭く指摘。いい記事には激励の声を新聞社に寄せるのが効果的で、現場記者を励ますことにもなるとのこと。
次回は、池谷薫監督と山田朗教授の対談付で、池谷監督の『蟻の兵隊』の上映会を9月15日(金)に予定。
上映会チラシ
『 ガーダ パレスチナの詩』は、ガザ地区難民キャンプのガーダという女性に密着した記録映画。古居みずえ監督は、30代に大病で歩行困難となってしまったことで、「表現」への渇望が高揚、回復した時からフォトジャーナリストへの道を歩み始める。広河隆一の写真に魅かれ、「インティファーダ」を取材にパレチチナに向かう。そこで出会ったのがガーダ。イスラムの女性をここまで「赤裸々」によく記録できたと思える映像は、取材者・被取材者を超えた信頼関係が築かれているからだろう。
外出の禁止・通行止め・銃撃戦のもとでの日常生活、はては入植地の拡大で住居さへも破壊されてしまう。こんな不条理・悲惨な状況の中でも、逞しく生きる女性たちの姿には、生きる勇気をもらえる。女性が表に出れない社会の中でも、変わっていくパレスチナ女性たちを、死と隣り合わせの中で、「至近距離」からみごとに映像化した古居監督の粘り強さと勇気には、敬服させられる。まさしく渾身の力作である。

『雪に願うこと』、根岸吉太郎監督作品では、「都市近郊農」という着眼点がよかった『遠雷』に匹敵する秀作だった。開拓民の農耕馬によるお祭りがルーツである北海道の「ばんえい競馬」を描く。サラブレットの倍くらいの馬が、1トンのソリを引いて走る競技で、ゴールは鼻先でなくソリの最後尾。「荷物を運びきることが目的」の競技だ。監督が競馬を見学すると、そうとう遅れている馬のゴールを固唾を呑んで見守り、ゴールした瞬間に拍手が起こる。それを見て映画に撮りたいと思ったという。
「廃馬」として処分される寸前の競争馬と、事業に失敗しすべてを失った男の交流、体を使った労働と共同作業から生まれる親近感と信頼感。家族に生じた確執も徐々にほぐれていった。人と馬、自然とのふれあいが、現実と向き合う勇気と気力を与えてくることを、ひじょうにうまく表現している。それは同時に、金銭的価値だけで人生の「勝ち負け」を決めつける荒んだ世相への鋭い批判にもなっていた(現実にも、伊勢谷は佐藤・山崎らすごい俳優と渡り合わねばならず、自分自身とものすごく闘いながらこの役に向かっていたという)。
寡黙だが心優しい男を好演した佐藤浩市、「賄いのお母さん」を見事に演じきった小泉今日子、伊勢谷友介もこれまで観た作品の中で一番良かった。『どんてん生活』の怪演が印象深い山本浩司の活き活きとした演技も見逃せない。これだけ役者の好演が目覚しく感じる映画も珍しい。役者の実力もさることながら、やはり根岸監督の演出力の賜物だろう。
大分県宇佐市の戦争史跡・城井1号掩体壕に備え付けられた感想帳に書かれた歌手・一青窈の平和メッセージが、何者かに破り取られてしまった。掩体壕とは「えんたいごう」と読み、空襲から戦闘機を守るための格納庫で、お椀を半分に割って伏せたような奇妙な形。
9・11のテロに触発され、暴力の連鎖を断ちたいと『ハナミズキ』の歌詞を書いた彼女は、反戦の想いを意識しながら活動している歌い手である。今回のメッセージも、全国ツアーで大分を訪れた際のもの(長崎では原爆資料館も訪れている)。
一青窈は、台湾人の父、日本人の母を持ち、若くして両親を亡くしている。『アリガ十々』『大家(ダージャー)』『年年歳歳』『音木箱』『影踏み』など、難解であるにもかかわらず、亡くした両親への想いを歌った詩は深く心に響いてくる(『もらい泣き』の「ええいああ」という母音だけのフレーズの衝撃、その作詞センスも抜群)。障害者ボランティアとして歌っていたところをスカウトされるという変わった経歴でもある。ここにも彼女の歌が「優しさ」や「癒し」として、人々を捉える秘密があるようだ。
昨年12月に発売された3rdアルバム『&』に、『ホチKiss』という曲がある。「ホチキス」を「ひねもすKiss Kiss」と一日中キスをしている様子にかけた歌詞で、明るくいかにも甘い恋愛歌という感じである。が、詩に唐突に「カチューシャ」という言葉が挿入される。これまた難解。本人の解説によると、カチューシャとはロシアの女性の名前だが、兵器の名前でもある。1942年にブランテルが作曲した『カチューシャ』。なんとこの有名な曲は、その兵器で死んだ女性へのレクイエムだったのだ(「君なき里にも」とはそういうことだったのか!)。『続・ハナミズキ』として「楽しいことの裏には悲しい現実もある」という、反戦的な「裏テーマ」が隠されているという。
持ち去った者の意図はわからないが、これにめげずに今後も「戦争と平和」を思考されてくれるような作品を創っていってほしい。

昨年の朝日新聞・神奈川県版(05.12.5)で、閉館した横浜日劇が「レトロ」な外観を生かしてイベント会場として復活すると、「横浜日劇の灯再び」と見出し報じていた。当サイトでも「映画館」としてではないのは残念であると書いたが、6/5の朝日・神奈川版によると、年内中に映画館として復活するようだ。映画好きの有志6人が「横浜日劇再生準備委員会」を立ち上げ、持ち主と交渉、運営会社設立を視野に入れ、映画・映像の発信基地を目指す。そして、「横浜=映画芸術を発信する街」のイメージをつくり、地域一帯の活性化に結び付けようと目論む。
新作のみならず古い名画の上映や映画監督らによる映画講座、交流の場などを設ける方針というので、「中央興業」時代のような充実したプログラムが期待できそうで、楽しみである。周辺にはシネコンが増殖し続けるが、上映される映画はほとんど変わりばえしない。映画監督特集・平和映画祭などの企画を、ぜひ再び実現させてほしい。
6月24日~7月7日には『いつか読書をする日』の特別上映会を予定している。
イラクの日本人人質事件をモチーフにした小林政広監督の『バッシング』、ちょっと風変わりな作品だったが、現代日本の「病巣」に迫る秀作だった。
3年連続カンヌ映画祭出品という記録を持つ小林監督は、元フォーク歌手という変わった経歴で(高田渡に師事)、その後牛乳配達・郵便局員・プログラマー・シナリオライターなど20もの職を経験したという。

社会性のある作品は一生つくらないだろうと思っていたが、9・11の影響とトリュフォーの「映画は反抗であらねばならない」という言葉を思い出し、反抗ならできるかと目を開かされたという(監督は、トリュフォーにあこがれフランスに留学している)。そして、今日的なテーマがないと観客は劇場に足を運ばないのではと思い至る。
映画に「イラク」という言葉が全く出てこないように、『バッシング』はあくまでフィクションとして、どんな非難を受けても信念を貫き通そうとする女性の生き様を描く。そして、被害者であるにもかかわらず社会から抹殺されかねない恐怖。その異常さも鋭く告発している。

今月の特集は、『エドワード・サイード OUT OF PLACE』『三池 終わらない炭鉱の物語』『雪に願うこと』『バッシング』『花よりもなほ』など。
パレスチナ系米国人の文学研究者エドワード・サイードの記録映画『エドワード・サイード OUT OF PLACE』。独自のドキュメンタリー論を展開する『阿賀に生きる』の佐藤真監督作品。監督のインタビュー、マリアム・サイードと小森陽一の対談で映画を読み解く。
熊谷博子監督の『三池 終わらない炭鉱の物語』は、「負の遺産」として葬り去られようとしている「三池炭鉱」の歴史を、懸命に生きた人々の輝かしい歴史として見つめ直した。自治体が製作た映画としては、役所としては都合の悪い部分もちゃんと描き出していて画期的だ。熊谷監督のはインタビューで、「監督としてではなく、ジャーナリストとしてつくっている」といっているが、その姿勢が事実を謙虚に見つめる態度につながっていると思えた。
『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督、『バッシング』の小林政広監督のインタビューも、作品を理解するうえで、大変興参考になった。
テレビ朝日系「サンデープロジェクト」、シリーズ「言論は大丈夫か」の第2弾「共謀罪とは何か」が放映された(06/5/14放映)。3/26に放映された第1弾「ビラ配り弾圧」からかなり間があったので、公安筋から圧力で放送できないでいるのではとネットで取沙汰されていたが、取材が長引いたというのが真相らしい(当初第2回は、「犯罪被害者匿名問題」を予定していたので、この取材が難航したのだと思われる)。第1回に続き、今回もレポートは大谷昭宏氏。
日本の刑法は、実行行為の着手を持って処罰するのが原則(既遂=結果の発生、未遂=実行の着手、殺人・強盗などに予備=具体的な準備)。ところが、共謀罪は、準備行為さえない段階で、当事者間の合意だけで処罰できるというもの。逮捕対象は、懲役4年以上619もの犯罪が該当する。
例えば、反対運動を展開する普天間基地の移転先・辺野古の漁師・市民が、非暴力で地質調査を阻止するために、カヌーを漕ぎ出しているが、これも「組織的威力業務妨害」として、共謀罪の対象となってしまう。それも、カヌーを出そうと合意した段階で。これでは、地域の住民運動ができなくなり、民主主義自体が成り立たなくなってしまう。
また、1980年代の三宅島NLP離発着訓練の反対運動で、800人が座り込み4人を威力妨害行為で逮捕している。2年後国は断念、画期的な住民運動として記憶されるが、これも座り込みを計画しただけで逮捕されてしまうことに。

4度の審議未了と廃案を繰り返す「共謀罪]だが、そもそもは00年の「国連越境組織犯罪条約」成立に基づき、テロや麻薬などの犯罪組織の越境的犯罪を防ぐために、各国に法整備を義務付けたのが法案化されたきっかけ。「共謀罪」にはこの「越境」が抜け落ち、国内の一般犯罪まで対象を広げる。法務省は犯罪組織がその対象と言っているが、市民団体を対象外にするとはどこにも書いていない。「会社」も対象という答弁もされている。さらには、何を持って「合意」かも不明確。なんと目配せだけでも合意になる場合があるとさえ答弁している。
一度合意してしまえば、実行を中止しても罪は成立。合意すれば実行するかどうかに関係なく、時効まで罪は成立する。
共産党の盗聴事件のような「公安」的な捜査手法を助長することにもつながる。元公安警察関係者は、盗撮・盗聴・手紙の開封など高度なスパイ技術を教えていたと証言する。また、人権侵害、法を犯すことも多かったという。99年の通信傍受法は、集団殺人・麻薬取引・集団密航・銃器関連犯罪に限り、有線電話のみに許可されている。実効性が低いとして、この法律を改正する可能性も大きい。裏金を告発した現職警官は、今の日本警察は法律を守る意識がない、共謀罪を正しく施行するのは難しく、違法な捜査の横行が懸念されると語っている。
市民運度・労働組合を標的にされかなない思想に踏み込み恐るべき法案、言論は萎縮し言いたいことの言えない社会になるのは間違いないと、大谷氏と締めくくった。
(写真:「共謀罪」を批判する新聞を貼り出す大手書店も)
九条かながわの会の「もっと広がれ九条の輪!・かながわ県民のつどい」が5月20日、中区横浜文化体育館で開催された。昨年2月のつどいは5000人が参加、第2会場まで満員で入場できなかった人も多かった。今回も、4000人が結集するという大盛況だった。

プログラムは、「のむぎ平和太鼓」と「アメージングレイス」の合唱で開会し、森村誠一氏と池辺晋一郎氏の「悪魔の飽食」対談へ。話術巧みな二人の話しに会場は大いに沸いていた。そして、池辺氏指揮による混声合唱組曲「悪魔の飽食」の合唱。その後は、岡田尚弁護士の「報告と問題提起」に続き、森村氏と小山内美江子氏の講演。森村氏は、憲法の理想を現実に合わせることを暴挙と批判、子どもを戦争に送られることを阻止しようと呼びかけ、小山内氏は、カンボジアのボランティアの経験から、いかに日本国憲法が各国から評価されているかを、紹介していた。

県内に結成されている250近い「九条の会」のから、3つの会の報告がなされ、本間慎フェリス女学院大学長の閉会のあいさつで終了。多彩な内容で、九条の意義を改めて確認することができた。