NHKアーカイブスで、山田太一脚本の『男たちの旅立ち・シルバーシート(第3部第1話)』が、10月9日再放送されていた。このドラマは、1976年から1982年に、全4部13回に亘って放映された。警備会社を舞台に、「特攻隊の生残り」の男(鶴田浩二)とその部下の若者(水谷豊・桃井かおり・森田健作・柴俊夫・清水健太郎ら)を対比させながら、物語は展開していく。
鶴田演じる吉岡指令補は、特攻に散った戦友の影を引きずる男で、道徳と礼儀をひじょうに重んじている。しかし、発想は柔軟で問題解決能力に秀でる。演技というよりも、地のままの鶴田を登場させている感じ。今回の「シルバーシート」は、車庫の都電に立てこもり「抗議」する老人たちの話。志村喬・笠智衆・藤原釜足・加藤嘉・殿山泰司・佐々木孝丸と老人たちの配役がすごい。さすがの吉岡も、歯が立たず、複雑な表情のまま結末をむかえる。
常識を覆す先鋭的な視点で社会に対峙していたこのドラマには、「ものの見方」を教えられることが多かった。第2部「廃車置場」では、女性の悲鳴を聞きながら、警備区域外だったため見過ごした水谷と柴に、「自分の仕事をはみだせ」と鶴田は厳しく叱責する。また、第4部「車輪の一歩」では、人の世話にならなければならないので、なかなか外には出れないという車椅子の若者たちに、「むしろ迷惑をかけることが必要」と励ます。
混迷を深める現在において、このドラマから学べることはひじょうに多い。