映画人九条の会「憲法と映画~映画が自由でなかったとき」をテーマに、3月8日学習会が開催された(文京区シビックホール)。講師は同会の呼びかけ人でもある映画評論家の山田和夫氏。
冒頭で『男たちの大和』について言及。この作品は「週刊金曜日」と西部邁の「表現者」という対極にあるような雑誌が、それぞれ好意的な特集を組んでいるように、「左右」両陣営からかなり評価されている。山田氏の評価に注目していたが、なかなか表明がなかった(中国のメディアには発表していたとこの日語っていた)。ようやく『社会教育』3月号に厳しく批判する文が掲載されたが、この雑誌はあまり書店には置かれていないので、山田氏の見解を今回はじめて聞く参加者も多かったと思う。プロレタリア映画運動の経験者が作っていた学徒出陣の有名なニュース映像が、多くの青年を戦争に駆り立てていったように(山田氏自身がこの映像に騙されたという)、「戦争を起こさせないため」の映画という佐藤監督の「善意」もこの作品では、実現させることは難しいとした。
「憲法と映画」は、(1)「大日本国憲法」からはじまった(2)「映画法」の三本柱(3)映画企業、映画人はそのとき…?(4)戦後日本国憲法の現代(5)憲法九条の危機と向き合ういま、の内容で講演。言論の自由が大幅に規制されていた時代の法体系と、そのもとで闘った映画人(亀井文夫・伊丹万作・小津安二郎・黒澤明・稲垣浩・山中貞雄・木下恵介各監督など)など、ひじょうに興味深く参考になる講義だった。時間が足りずに、戦後の部分がほとんど語られなかったので、なるべく早い時期に「第二弾」を開催していただきたい。約90人の参加者、資料も足りなくなってしまうほどの大盛況だった。