シネ・フロント3月号、ベスト1『パッチギ!』の井筒和幸監督が、九条の会事務局長・小森陽一東大教授と対談をしている。
(小森氏)東大と京大で自主的試写会が開催され大盛況、「全都学生集会」的な様相だった。中学生までがベトナム戦争について語り合っていた、1968年に生きた人々の「言葉」と「感覚」が生き生きと描かれる。「暴力」も差別される側の「絶対に殺さない」厳密な描かれ方がされて感動した。「反北朝鮮」報道の中での上映は、勇気もあるし意味も大きい。今は議論がほとんどなされない思考停止状態で、『パッチギ!』はそういう日本社会への頭突き(パッチギ)だ。
(井筒氏)ある日名前を変えられたらどう思うか、この100年の歴史をもう一度考え直さなければアカン。『パッチギ!』では、日本国憲法を援用しながら、禁止歌「イムジン川」の放送を強行する。映画は、憲法の「自由」に守られた唯一の芸術。テレビはスポンサーが来ただけで、憲法を無視する。映画は自粛に対抗できる数少ないジャンルで、最後の砦にいるなという最後感がある。
アンソン、キョンジャの在日一家のその後を描くPART2、3も構想中とのこと。ちょっと乱暴なところもあるが、憲法を意識しながら、映画を作る井筒監督は貴重な存在である。