
ある程度予想はしていたが、最も懸念していた事態となってしまった。4月12日公開のドキュメント映画『靖国』の上映予定館5館すべてが上映を取り止めた。各劇場とも上映妨害などによるトラブルを警戒しての判断だという。
先週までは、予定通り上映すると渋谷Q-AXシネマは頑張っていただけに残念である。街宣車などの抗議を受けたことを中止の理由にあげている銀座シネパトスは、2006年にイッセー尾形主演の昭和天皇を主人公としたロシア映画『太陽』を、右翼の妨害が危惧されながらも上映を断行した劇場である(結果、動員記録を更新するヒットとなった)。まさかシネパトスが上映を中止するとは思ってもみなかった。
いずれにせよ、自民党議員による反日映画かどうかを確認すると称した「検閲」まがいの試写会が、大きく影響していることは間違いない。上映中止という事態は、民主主義にとっても映画愛好者にとっても最悪の状況である。
朝日新聞は社説(2008.3.30)で、「映画館に圧力をかけることのないよう呼びかける一方、上映をやめないように映画館を支えるのだ」と提案している。まずは、朝日新聞が先頭に立って、各方面に呼びかけ、言論・表現の自由擁護・『靖国』支援のための試写会を開催してみてはどうだろうか。

「反日」映画に文化庁が助成金を出したのは問題だと、自民党・稲田朋美衆院議員らの要求で、「検閲」まがいの試写会が開催されたドキュメンタリー映画『靖国』(李纓<リ・イン>監督)だが、上映を取り止める劇場が相次いでいるようだ。
4月12日からの東京の上映予定は4館。新宿の「バルト9」は上映取り止めが報じられた。他はどうなっているのか問い合わせてみると、
×「新宿バルト9」-上映中止
×「銀座シネパトス」ー上映中止、
▲「シネマート六本木」ー上映保留、
●「渋谷Q-AX」ー予定通り上映、という状況。
4館中3館までもが上映を取り止めそうな雲行き。
3月27日の朝日新聞で「映画「靖国」文化庁の影」という記事で、この問題の経緯が報じられている。日本映画監督協会理事長・崔洋一監督が「表現の自由への大きな圧力」とコメントを寄せているが、まさに言論・表現にとって深刻な事態である。
劇場もなんとか頑張ってほしいし、「靖国」の上映ができるよう映画人・観客の支援を広げていければと思う。
(なお、状況は確認していないが、他の地域は、横浜ニューテアトル(横浜)、シネマート心斎橋・第七藝術劇場(大坂)、名古屋シネマテーク(愛知)が上映を予定している)。