放送レポート9月号、好評の森達也ドキュメンタリー対談、今月は『いつか読書する日』が公開中の緒方明監督がゲスト。両者とも、テレビ・ディレクター出身ということもあって、鋭いテレビ批評が展開されている。緒方監督は、カメラ・編集が下手になり、構成もひどくなった、という。原因は視聴率をとるためにはどうすればいいか、という議論を全員がするようになったから、としている。何のために今の仕事をやっているのかわからない、とみんなが言っているという。
緒方「放送局や制作会社の人と話をする機会があると思うけど、テレビの人と話をすると愕然としませんか?」、森「たしかに、言葉が通じないようなこともありますね」。相当悲惨な状態のようだ。
また、地方局のテレビ・キャスターを主人公に、「リストラ」問題を問う映画『ひだるか』の写真付台本が掲載されている。この映画は自主上映のようで、ほとんど知られていない。MAKOTOシアター銀座で、9月17日から9月25日まで上映される。
映画「ひだるか」制作委員会
その他は、メディア総研シンポ「戦争とメディア」のテッサ・モーリスースズキによる記念講演の採録。NHK「番組改変問題」の新展開(丸山昇)、フジ"大荒れ”総会の一部始終(松沢弘)など。
なお、緒方監督の『いつか読書する日』は、「平凡」「日常」といった概念を問い直すなんとも不思議な映画だった。捉えどころのないような役を、みごとに演じきった田中裕子と岸部一徳は、やはりすごい俳優だ。